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よわむし 早川義男 作 平太が柳橋の船宿「舟久」の勝手口から、岡持を片手に下げて表へまわり、女将に声をかけて帰ろうとしたところ、中から「平坊、おい、坊主」と声をかける者があった。 あの声は伯父の歳三のものだった。 まだ幾軒も配達が残っているのだ。平太は額や首筋からじっとりと汗が吹き出てくるのを感じながら、どうしようかと迷った。七月の暑い昼下がりで、往来では頭がくらくらするような陽射しが照りつけていた。 「平太さん、お寄りなさいな」 と、入り口の戸を開…
表示できるコメントがありません2017/10/18 09:24